『ニュートンと林檎の樹』感想

概要

タイトル:ニュートンと林檎の樹

メーカー:Laplacian

発売日:2017年05月26日

プレイ時間:約10時間30分

感想

 特に考えずプレイする分には楽しめました。実はニュートンは女性だったというifはただ性転換させただけじゃなく、時代背景を加味した上で納得の行く面白い設定。時より変なMVを挟みつつタイムトラベル物をカジュアルに楽しめる点においては良かったです。一方で終えてから冷静に振り返ると粗が目立つし「この物語で得たものはなんだろう?」って考えても何も見当たらない。

 改めて主人公の目的を整理する。まず未来へ帰ること、そして史実通りにプリンキピアが発行されることの2点。後者のプリンキピアは自分たちの未来を取り戻すためで帰れればいい訳ではない。そこに絡んでくるのがヒロイン四五の存在。全ては正しい未来で活躍する四五の為に行動している。

問題は四五ルートが最初に来てしまったこと、振って解決してしまうこと。更に言えば四五ルートを選んでも実際は主人公の隣に居ればそれだけでいい実質バッドエンドになってしまう点。
これが地味に痛かった。なぜなら四五を振った時点で主人公が未来へ帰る必要性が弱くなってしまったから。実際、他のルートでは四五だけ未来へ帰りあっさりこの時代で生きていくことを選んでいる。ところが一転、最終アリスルートではなぜか執拗に未来に帰りたがるから違和感がある。
未来へ帰るために試行錯誤してたから帰りたいのは当たり前と思う反面、四五と違って主人公は未来でどうしたいって部分が見えないから納得出来ない。結局タイムマシンを直さなければいけない理由の大半は最初から変わらず四五のままで自身に対する動機がない。

 これらの問題の根本は主人公の成長が無いからだと考えている。科学を頑張るそのために未来に帰るのなら一度諦めたものがタイムトラベルを経て再び前を向く物語として成り立つ。しかし、その重要な部分があまり描かれていない上に前述の通り他のルートでは何の躊躇いもなく残るから行動と変化にギャップが起きる。今と未来を天秤にかけた葛藤がないに等しく、恋仲になった人との一方的な別れにしかなっていない。尺が足りてないとか描写が足りないとか原因は色々あるけど、結局主人公何もしてない(変わってない)よねって話。

キャラ別

・四五

 明確なスイッチがあるわけではなく、日常会話の中に少しデレを入れていくクーデレなので可愛かったです。最初片乳揉んだ時に思い描いたこの子とハッピーエンド迎える未来は儚く消えた。何が悲しいって他ルートに入ると毎回のように未練タラタラ。しかも、振った後の方が四五らしさが出ていて良いのがまた何とも言い難い。Hシーンでは計測キャラが腐ってて色々惜しい。

 

・ラビ

 好きなキャラではなかったが一番良かった。タイムトラベルで成し得た願いとその代償を支払うカジュアルな本作がボカしている理想と現実を体現してる。
修理する必要があるので万能役として便利過ぎてストーリーの都合に動かされたのは残念。ラストは有耶無耶だし個別ルートではなくタイムトラベルの功罪を描くメインイベントでも良かった。

 

・春

 好きな要素はたくさんあるのに全てが薄い。和服でおっぱいデカいお姉さん好きの私でもどうかと…。

 

・エミー

 芋メイド可愛い。男爵MVが一番の見所なんじゃないでしょうか。これと言って感想は無いのが本音。林檎よりじゃがいもの方が目立ってるのはこの子のせい。

 

・アリス

 今思うと本作はアリスが主人公で数奇な出会いをして科学者として邁進する物語だったのかもしれない。

おわり

 間違いなく面白かったし勧められる。比較的短めでサクッと遊びたい人には良い。ただ、ちゃんと考え始めると”良い”とは言えないそんな作品。