映画『モンスターハンター』感想

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概要

タイトル:モンスターハンター

時間:104分

日本公開日:2021年03月26日

 作戦行動中に砂漠で消息を絶った偵察小隊。その探索に当たっていたアルテミス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)率いる特殊部隊は、突然、激しい砂嵐に飲み込まれてしまう。
 砂嵐が去った後、彼らの眼前に現れたのは、未知なる世界の光景と…ありえないサイズの超巨大モンスター!! 近代兵器が通用しないモンスターの猛攻に、小隊は全滅寸前にまで追い込まれる。
 絶体絶命の危機を救ったのは、見慣れぬ装備を身にまとい、巨大な剣を携えた一人の男(トニー・ジャー)。彼はモンスターを狩るために戦う者=モンスターハンターであった。(以下略)

良かった”モンスター”

 ハンターではなくモンスターを表現したかったと言わんばかりの迫力ある映像体験は良かった。リアリティに重きを置いていて、銃が全く効かない様子や手も足も出ない絶望感。カジュアルなゲームと違い現実的な生物としての格差をしっかり描いてる。

 中でも完全にただのパニックホラーと化していたネルスキュラはエゲツない。大型であるディアブロスリオレウスは”モンスター”である一方、人間より少し大きいネルスキュラは”クリーチャー”と言うべき。卵のシーンは大人ですら引くんだから子供が見たら間違いなく泣く。

モンスター以外は微妙

 ストーリー、構成について。異世界転移してそこで奮闘、一応元の世界には戻れたが何一つ解決しておらず「俺たちの戦いはこれからだ!」で終わる。結末はさておき不要なシーンが多すぎる。その大部分がミラ・ジョヴォヴィッチと現地ハンターとのやりとり。これがやたら長い上に、二人の格闘シーンが一番見ごたえがあるから困ったもんだ。完全に力の入れどころを間違えてるとしか思えない。時間配分から察するに対立→和解→結託を描きたかったのだろうけど、約100分の本作にそんな余裕は無かった。

 ストーリーに関しては続編ありきで何一つ語れる要素がない。匂わせてる部分も不明のまま終わる。

 前述の通りモンスターは良かったが戦闘シーンや倒し方は呆気なくて腑に落ちない。ネルスキュラの毒を利用するアイデア良いのに、結果は大剣を突き刺し押し込んで終わり。あんな迫力のあったディアブロスがものの10分程度で討伐完了。リオレウスも乱舞して爆撃して追い込まれても苦戦はしてないように見えた。現地ハンターの爆撃が強すぎる。一度死んだはずなのに復活するミラ・ジョヴォヴィッチが無敵すぎて窮地らしい窮地に陥ることがないからハラハラ感が無く、キメの爽快さが足りなかった。

おわり

 ”モンスターハンター”という看板を背負ったちょっとリッチなB級映画

 ミラ・ジョヴォヴィッチが全面的に押し出され、モンハンらしい要素の「上手に焼けました」やテーマの”英雄の証”は使われず、ファンが求めていたであろう物とのミスマッチ。かくいう私もモンハンらしい物が見たかったのは間違いない。事前知識0ならパニックホラーとしてそれなりに楽しめる、一方ファンはモヤモヤする。そんな一作。